サービス付き高齢者向け住宅は量から質へ
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)は、賃貸住宅としての位置付けが強いため、高齢者の介護情報である情報開示制度に比べ、サービス内容の情報開示が少ないという声があります。
そこで国土交通省は、サービス情報を充実させて入居希望者のサ高住の選定に役立ててもらおうとしています。
そのことが、左の日本経済新聞(平成28年11月16日)に書かれていました。
実際のサービス内容が契約書と違うという調査結果がある
国土交通省の行ったアンケート調査では、次のような意見がありました。
- サービス内容について契約時の説明が不十分だった、または聞いていない 9.1%
- 費用について契約時の説明が不十分だった、または聞いていない 7.6%
- 実際のサービス内容が、契約書の記載や契約時に聞いた話と違う 6.9%
- 実際の費用が、契約書の記載や契約時に聞いた話と違う 4.7%
出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会第7回資料(平成 28年4月27日)
上記の様な問題は、情報不足に起因している部分が多いです。
そこで国土交通省は、サービス内容の情報を充実させ、入居後のギャップを解消しようとしています。
サ高住はサービスの質が求められる
国土交通省が、事業者に情報の公表を求める項目の例として、
- 職員の人数
- 職員に占める介護福祉士など資格保有者の割合
- 建物近くで利用できる介護サービス
- 重度の認知症患者受け入れの可否
- 現入居者の年齢や要介護度の内訳
が挙げられています。
いずれの項目も、サ高住のサービスの質に関連するもので、これからはサ高住にサービスの質が、ますます求められてきます。
情報公開がどれだけ有効か?
介護の情報公開制度は、利用者や家族にほとんど利用されていません。
公正取引委員会は実態調査により、介護サービス利用者又はその家族の8割が「介護サービス情報公表制度を利用したことがない」と回答していることを報告しています。
また内閣府は、「情報量が膨大で利用者や家族が利用するのは難しい」などの課題を指摘しています。
この様に介護の情報公開制度があるにもかかわらず、十分に利用されておらず、サ高住も事業者に情報公開を求めても、どれだけ有効に活用されるかということを解決しなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。