介護保険から外されたサービスが新たな保険外サービス市場になる
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護保険法改正案が国会に提出されましたが、改正案の内容は介護保険外に移行するという当初の議論から、大幅に後退し見送りになりました。
しかし、今の社会保障の財源を考えると、いずれ介護保険外に移行しなければならない時期が必ず来ます。
介護保険から外れる理由
社会保険制度は、これからも費用の増大が見込まれる。
今、高齢者人口は増えていますから、それに比例して要介護認定者も増え続けています。
要介護認定者が増えるということは、国が払う介護給付費総額も増えていきます。
このままいくと国の会計はパンクしてしまいまう。
介護保険制度をこれからも維持していくためには、重点化、効率化が必要である。
重点化とは、国の財布は限りがあるので、大事なところから予算を使っていくということです。
介護保険制度で大事なところは、重度者すなわち程度の重たい利用者が中心になります。
要介護1,2の軽度者の方は自分でする力が残っています。
例えば、自分一人でお手洗いに行くことができますが、要介護4,5の方は寝た切りですから、行きたいという意思があっても行けません。
どちらの方に介護保険の財源を使うかというと、程度の重たい方から限りお金を使っていくという発想になります。
結果として、今年の4月までにすべての市町村において、訪問介護と通所介護の要支援1,2が、介護保険から外されて市町村の総合事業に移すという形のものが今進んでいます。
次は要介護1、2を介護保険から外す
今回、議論されたのが訪問介護から要介護1,2の方の生活援助を総合事業に移すとか、福祉用具貸与は要介護3以上の方を対象にするということでした。
見送りになりましたが、廃止されたわけではありません。
要支援の方については終わって、要介護12の方をどの様にして介護保険から外すかという議論に移っています。
ただ一気に要介護12の方を介護保険から外すことはしなくて、階段的に訪問介護の生活援助だけ外し、最終的に要介護3以上に介護保険は移っていつと予想されます。
介護保険から外れると保険外サービスが生じる
介護保険から外されて市町村事業に移った場合、市町村事業は基本的にはボランティアスタッフによるサービスです。
介護事業所がサービスA緩和した基準によるサービスの許認可を取得して行った場合にも、介護事業所は管理監督するだけで現場の運営は有償ボランティアスタッフが中心です。
ボランティアは、基本的に素人ですから総合事業のサービスAは、ヘルパー資格とか介護福祉士の資格は要りません。
ただ市町村が準備するだいたい40時間相当の研修を受けるだけでボランティアスタッフとして職員として登録できるようになっています。
今まで介護保険で受けていたサービスの質とは、格段に違うはずです。
お金のある人は、10割負担でも今まで通りのプロのサービスの提供を受けたいと思うはずです。
介護保険が縮小されることによって、はじき出されたものは、素人のサービスを受けるか、それともお金10割を払って今まで通りプロの仕事を受けるかという選択になってきます。
この様にして、介護保険からはじき出されたたサービスは、新しい保険外サービス市場となります。
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