小規模介護事業者が生き残れる理由
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です
昨日のブログに引続き、なぜ小規模事業者が生き残れるかについて書きたいと思います。
家電を買うなら、まずヤマダ電機やビックカメラなどの家電量販店に行くのが、今では常識になっています。
そのため、昔からある家電メーカーの系列のいわゆる「街の電気屋さん」で家電を買う人は激減し、営業を続けている店は少なくなってきました。
この様な状況が介護業界でも起きるのではないか?と危惧されます。
なぜなら厚生労働省は、介護報酬を改正しながら介護事業所の大規模化を誘導しているからです。
なぜ厚生労働省は大規模化を誘導するのか
事業所規模(従業員数)が大きくなるにつれて、離職率が改善し従業員の平均月収が上がるという統計が出ているからです。
【事業所規模(従業員数)別離職率と事業所規模(従業員数)別平均月収】
出典:池田省三氏著「介護保険論」
さらに規模の大きい事業所は、規模のメリットを活かして利益を出していますから、介護報酬を下げても耐えうる体力があります。
この様な理由から厚生労働省は、小規模事業所に厳しい介護報酬の改正を徐々に強めていくでしょう。
生き残っている「街の電気屋さん」
値段では家電量販店に負けますが、それでも生き残っている「街の電気屋さん」があります。
それは徹底的に地域に密着しているからです。
例えば、ご高齢の方が電球を換えるのに困っていると交換に行くなど、困っていることがあると駆けつけて引き受けるのです。
そうすると値段は高くても「街の電気屋さん」で家電を買おうという気持になります。
お孫さんの誕生日を知っている「街の電気屋さん」は、誕生日が近づくと家電製品をすすめます。
いつもお世話になっている「街の電気屋さん」に言われたら、高くても買ってしまいます。
この様にして地域に密着しながら、大手家電量販店にはできない、きめ細かなサービスを提供して生き残っているのです。
「街の電気屋さん」より、小規模介護事業所が有利な点
生き残った「街の電気屋さん」は、家電製品を売るため、電球交換や買い物、植木に水やりなど何でも御用聞きという涙ぐましい努力をして、お客様の心をつかんで家電量販店より高い商品を買ってもらっています。
しかし、小規模介護事業者は、その様な努力をする必要はありません。
なぜなら、まず値段は家電製品と違って大手介護事業所であっても、小規模介護事業所であっても同じです。
全国で統一された報酬単位が決まっており、小規模介護事業者が大手介護事業者に値段で負けるということはありません。
また介護事業が提供しているサービスそのものが、利用者の心をつかむことができます。
家電製品だけでは、心をつかむことができない「街の電気屋さん」と比べ、圧倒的に有利です。
さらに介護サービスは人間対人間のサービスなので、いつもお願いしている人に継続してほしいという要望があります。
この様に「街の電気屋さん」に比べ、小規模介護事業者は、生き残れるのに有利な条件が揃っています。
以上が小規模介護事業者が、生き残れる主たる理由です。
ただし、小規模介護事業者といえども、生き残るためには一工夫必要です。
この点については、明日のブログで書きたいと思います。
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