施設サービスの栄養管理

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

これまでデイサービスの栄養管理について触れてきましたが、特養などの介護施設の栄養管理について介護給付費分科会では、どの様に議論されたかについて述べたいと思います。

管理栄養士の配置数の違いによる入所者の低栄養リスク

入所者における低栄養状態のリスクレベル

左のグラフは、一般社団法人日本健康・栄養システム学会の報告書によるものですが、それによりますと介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)において、低栄養状態のリスクが「低」の入所者は、

  1. 管理栄養士1名配置で40.5%、
  2. 2名配置で53.8%でした。

すなわち、管理栄養士を複数配置すると、低栄養状態が改善するという調査結果になっています。

管理栄養士の配置数の違いによる入所者の入院率の違い

管理栄養士の配置数の違いによる入所者の入院率の違い

左のグラフは、一般社団法人日本健康・栄養システム学会の報告書によるものですが、介護老人福祉施設における管理栄養士を1名配置した場合の累積入院率と2名配置した場合の累積入院率したものです。

それによりますと、累積入院率は

  1. 管理栄養士を1名配置した施設では30.6%であるのに対して、
  2. 2名以上配置した施設では20.3%と低下しています。

すなわち、管理栄養士を複数配置することによって、入院率を下げることができる調査結果が出ています。

管理栄養士の配置数の違いによる入所者の在宅復帰率の違い

管理栄養士の配置数の違いによる入所者の在宅復帰率の違い

左のグラフは、上記と同様に一般社団法人日本健康・栄養システム学会の報告書によるものですが、介護老人福祉施設における累積在宅復帰率は、

  1. 管理栄養士2名以上を配置している施設で 31.2%
  2. 管理栄養士1名を配置している施設で 22.1%

となっており、管理栄養士が複数配置されていると在宅復帰率が高くなると指摘しています。

施設における管理栄養士の複数配置の促進

以上の通り、管理栄養士を複数配置すると

  1. 低栄養状態の改善につながり
  2. 入院率の低下や
  3. 在宅復帰率が高くなる
    という報告書が出されており、その報告書の調査結果が厚生労働省の介護給付費分科会の資料として提出されていることから、介護報酬改定のおいて施設の管理栄養士を複数配置することを促進するための検討がなされると思われます。



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