福祉用具貸与の介護保険部会での最終意見と今後の介護報酬改定の行方

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

昨年の介護保険部会での議論の過程では、軽度者への福祉用具貸与を介護保険外にするといった思い切った方向性が示されていましたが、最終的には保険外にするという方針は撤回されました。

それに代わって示されたのが、次の3点です。

  1. 国が商品ごとに、当該商品の貸与価格の全国的な状況を把握し、ホームページにおいて当該商品の全国平均貸与価格を公表する仕組みを作ることが適当である。
  2. 福祉用具専門相談員が、貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加え、当該商品の全国平均貸与価格等を利用者に説明することや、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示することを義務づけることが適当である。併せて、利用者に交付しなければならない福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付することとするのが適当である。
  3. 貸与価格に一定の上限を設けることが適当である。


福祉用具貸与の見直し

出典:第141回社会保障審議会介護給付費分科会

介護事業経営実態調査から福祉用具貸与は報酬削減の可能性大

福祉用具貸与事業者にとって、介護報酬改定において要注意なのが、昨年公表された平成28年度の介護事業経営概況調査結果です。

介護事業経営実態調査

この介護事業経営実態調査結果は、介護報酬改定に影響すると言われており、特に前年度比較でプラスになった介護サービスは要注意です。

福祉用具貸与の収支差率は、平成26年度0.4%から平成27年度3.7%へと3.3%改善しており、これから議論される介護給付費分科会において、介護報酬引き下げの圧力が強くなると考えられます。

特に介護保険部会の最終意見で、軽度者への福祉用具貸与を介護保険外にすることが見送られただけに、軽度者向けの福祉用具貸与の介護報酬に対して厳しい結論が出る可能性があります。

厚生労働省は介護給付費分科会において、財務省の「軽度者に対する福祉用具貸与等の在り方」を参考資料として提出していることからも、軽度者(要介護2以下)の報酬削減は必至とみられます。

軽度者に対する福祉用具貸与等の在り方

出典:第141回社会保障審議会介護給付費分科会


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