居宅介護支援事業所における入退院時の医療・介護連携の強化
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
「介護保険制度の見直しに関する意見」(平成28年12月9日社会保障審議会介護保険部会)において、適切なケアマネジメントの推進として、居宅介護支援事業所に入退院時の医療・介護連携の強化を求めています。
【「介護保険制度の見直しに関する意見」(抜粋)】
今後、重度者や医療の必要性が高い利用者が増えていくと考えられることから、医療ニーズを踏まえた適切なアセスメントや、ケアマネジメントを行う際の医療との連携が重要となる。例えば、医療機関へ入院した人が退院後に円滑に在宅生活に移行するためには、入退院時にケアマネジャーが関与し、医療機関と連携を図ることが重要であるが、その取組が必ずしも十分ではないとの指摘もある。
「介護保険制度の見直しに関する意見」を受けて、7月19日に開催された介護給付費分科会において、居宅介護支援事業所における入退院時の医療・介護連携の強化が議論されました。
入院時の連携について
入院患者が退院後に介護保険を利用するためには、ケアマネジャーがアセスメントに基づいて、ケアプランを作成しなければなりませんが、そのためには医療機関と連携する必要があります。
その連携を促すための加算として、「入院時情報連携加算」があります。
この「入院時情報連携加算」は、利用者が入院するに当たり、医療機関に利用者の心身の状況や生活環境などの情報を提供することを評価するものです。
ところが、ケアマネジャーが入院時の情報提供において問題と感じている点については、
- 医療機関から情報提供を求められない 24.7%
- 医療機関の医師とコミュニケーションがうまくいかない 22.7%
- 医療機関に情報提供する機会・タイミングを確保することが難しい 22.4%
となっています。
【入院時の情報提供において問題と感じる点】
出典:第143回社会保障審議会介護給付費分科会
退院時の連携について
また、入院患者が退院して居宅サービスを利用する場合、病院などの職員と面談し、必要な情報の提供を受けてケアプランを作成し、サービスの利用調整を行うことを評価する「退院・退所加算」があります。
しかし、退院時カンファレンスに参加する上で問題と感じる点は、「医療機関の都合に合わせた訪問日程の調整が難しい」が45.5%と一番多くなっています。
また、退院時に医療機関より利用者情報を得ることが困難と感じる点は「医療機関から急な退院の連絡があり、対応が困難」が55.0%と一番多くなっています。
【ケアマネが退院時に感じる医療機関との関係】
連携不足には医師とケアマネジャーの双方に問題あり
この様に「入院時情報連携加算」と「退院・退所加算」は、医師とケアマネジャーとの連携を促進するために設けられた加算であるにもかかわらず、現実はケアマネジャーが医師とコミュニケーションを取るのが難しく、うまくいっていません。
確かにケアマネジャーでなくても、医師と話をするのは難しいと感じることは理解できます。
医者の中には、上から目線で話をする人もいるので、ケアマネジャーを下に見て、連携してとか協力してという考えが毛頭ない人もいます。
もともと医師は、指示・命令することが多いので、連携するという発想がないのかもしれません。
ケアマネージャー側にも、問題があるかもしれません。
ケアマネージャーに医療知識がないことへの不安から、連携しにくいと考える医師は多いと思われます。
ケアマネージャーも医師と連携できるような、最低限の医療知識を身に付けなければなりません。
医師もケアマネジャーもお互いのコミュニケーションスキルを高めることの重要性を認識し、そのために必要な知識を習得するための研修をして、連携できるようになることが必要です。
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