「介護療養型医療施設」の議論の経緯と「介護医療院」の概要
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
昨日のブログで書きましたが、介護給付費分科会の委員の中から、特養の医療ニーズの高い入所者に対しては、新設される「介護医療院」などで対応するという意見が出されています。
そこで、本日のブログでは、この「介護医療院」について説明します。
「介護医療院」は、次の変遷を経て創設されます。
- 平成5年「療養型病床群」創設
- 平成12年介護保険適用の「介護療養型医療施設」と医療保険適用の「医療型療養病床」とに区別
- 「介護療養病床」を平成23年度末で廃止決定
- 「介護療養病床」の廃止・転換期限を平成29年度末まで延長
- 「介護療養病床」の受け皿として「介護医療院」の創設
療養病床に関する経緯
一般病院における長期入院患者の増加に対応し、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための療養環境を有する病床として「療養型病床群」が平成5年(1993年)に創設されました。
その後、平成12年(2000年)に介護保険法が施行され、療養型病床群は介護保険適用の「介護療養型医療施設」と医療保険適用の「医療型療養病床(病棟・施設)」とに区別されることになります。
出典:療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~
介護療養病床の平成23年度末での廃止決定
この様に医療療養病床と介護療養病床に区分されたのですが、実態は両療養病床の入院患者の状況に大きな差が見られず(医療の必要性の高い患者と低い患者が同程度混在)、医療保険と介護保険の役割分担が課題となってきました。
そこで、医療的ケアが必要な患者を医療療養病床の対象とする一方で、介護療養病床は平成24年3月をもって廃止されることになり、転換老健(介護療養型老人保健施設)や特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)などに転換する様に促されました。
出典:療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~
介護療養病床の廃止・転換期限を平成29年度末まで延長
介護療養病床は、平成23年度末で廃止することが決定され、老健施設等への転換を促されましたが、次の療養病床数の推移の通り、思った通りの転換は進んでいません。
出典:療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~
そこで、転換期限を平成29年度末まで6年延長されましたが、平成27年3月現在で6.3万床もあり、老健施設等への転換が進んでいない状況です。
延長を繰り返してきたのですが、いよいよ最後に介護療養病床の受け皿として「介護医療院」が創設されることになりました。
創設される「介護医療院」は、次の2類型があります。
- 介護医療院Ⅰ
重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者を主たる入所者とする。 - 介護医療院Ⅱ
比較的容体の安定した者を主たる入所者とする。
出典:第4回社会保障審議会 療養病床の在り方等に関する特別部会
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