看多機の「事業開始時支援加算」は廃止されるか?

クリックして下さい。
     ↓↓↓
画像の説明

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

小規模多機能型居宅介護(小多機)と看護小規模多機能型居宅介護(看多機)には、事業開始時の一定期間における経営の安定化を図るため、「事業開始時支援加算」があります。

小多機については、平成26年度末までの時限措置として「事業開始時支援加算」が設けられていましたが、平成27年度の介護報酬改定で予定通り廃止されました。

一方、看多機につきましては、「事業開始時支援加算」を平成29年度末まで延長することとしましたが、さらなる延長をするのかということが介護給付費分科会で議論されています。

介護給付費分科会は、論点として次の通り、平成29年度介護事業経営実態調査の結果も踏まえて検討するとしています。

事業開始時支援加算は平成29年度末までの時限措置となっているが、サービスの普及状況や経営状況を踏まえてどのように考えるか。特に経営状況については、平成29年度介護事業経営実態調査の結果も踏まえて検討してはどうか。

平成29年度の介護事業経営実態調査は、すでに平成29年5月に行われ、社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会において、平成29年10月頃に調査結果が公表される予定です。

看多機の「事業開始時支援加算」は廃止される可能性大

「事業開始時支援加算」の算定事業所数及び算定者数は年々増加しているものの、算定割合は事業所数で16%、算定者数で9%と低下しています。

また、看多機事業実施前に実施していた事業が小多機の場合は、「事業開始時支援加算」の算定率が低いです。

画像の説明

出典:第138回社会保障審議会介護給付費分科会資料

平成28年度介護事業経営概況調査の結果によれば、集計事業所数が少ないため、参考数値の扱いですが、看多機の収支差率は平成26年度の1.4%から平成27年度の6.3%へと改善しています。

画像の説明

出典:第138回社会保障審議会介護給付費分科会資料

平成27年度は6.3%へと改善していますが、この状況は29年度も大きく変わらないものと想像されますので、看多機の「事業開始時支援加算」は、収支率が改善したとして廃止される可能性が大です。

分科会の委員の意見

介護給付費分科会の委員からも、賛否両論の意見が出されています。

鈴木邦彦委員(公益社団法人日本医師会常任理事)

平成27年度の収支差率を見ても大幅に改善しておりますので、参考値とはいえ、平成29年度末で廃止していいと思います。



齋藤訓子委員(公益社団法人日本看護協会常任理事)

少しでも看多機への参入をふやすことを考えますと、加算の期間延長も視野に入れた検討が必要だと思います。



武久洋三委員(一般社団法人日本慢性期医療協会会長)にかわり清水参考人

今後も、看多機をふやしていく方向であれば、ある程度のサービス供給量が整うまでの間、継続してもよいのではないかと考えます。



井上隆委員(一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)にかわり間利子参考人

もともと29年度末までの時限措置だというところを基本に、廃止も選択肢から排除せずに検討していただければと思います。



小林剛委員(全国健康保険協会理事長)

既に小多機では廃止されており、今後、介護事業経営実態調査における看多機の収支差率も踏まえ、そのあり方を検討していくべきではないかと思います。



a:1295 t:1 y:0