高齢者集合住宅のビジネスモデルの問題点

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こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者集合住宅のビジネスモデルは、家賃を低く抑え入居者を集め、介護保険サービスを利用してもらって、全体として利益を出すという仕組みです。

この様に、一部の高齢者集合住宅では、訪問介護事業所などを併設して利益を出しています。

具体的な事例

例えば、家賃が月10万円で介護保険が10万円(自己負担1割と仮定して1万円)の場合、事業者には家賃10万円+介護保険10万円=20万円が入ってきます。

一方、入居者は家賃10万円+自己負担1万円=11万円の支払いが生じます。

ここで事業所者は、家賃を1万円下げて9万円にして、介護保険を20万円(自己負担2万円)した場合、入居者の負担は11万円と変わりませんが、事業者の収入は家賃9万円+介護保険20万円=29万円になり9万円増えます。

入居者としても自己負担は増えず、倍の介護保険サービスを受けられるのでメリットはあります。

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以上が、典型的な高齢者集合住宅のビジネスモデルです。

囲い込みや過剰な介護保険サービスの提供が問題

しかし、やりすぎた事例が見られ、平成29年9月6日に開催された第146回社会保障審議会介護給付費分科会の事業者団体のヒアリングにおいて、高齢者住まい事業者団体連合会は次のNG例を示し、囲い込みや過剰な介護保険サービスの提供をしないように喚起しています。

  • ある入居者は、朝・夕の着替え、身支度ができるのに、ケアプランに、訪問介護の起床介助や就寝介助を盛り込んでいる。特に要介護1・2の入居者に、全員、起床介助、就寝介助を盛り込んでいる場合は、注意深い検証が必要である。
  • ある入居者は、デイサービス(通所介護)を希望していない、または週1~2回の利用でよいと考えているのに、区分支給限度額が一杯になるよう、ケアプランに毎日のようにデイサービスを設定している。

以上の現象が数字として表れているのが、大阪府が平成28年12月16日に公表した報告書に記載されている次の資料です。

有料老人ホーム(住宅型)とサービス付き高齢者向け住宅(指定なし)の区分支給限度基準額に対する利用割合は約9割に達しており、平均的な4割~6割に比べ利用割合は高いです。

この様な囲い込みや過剰な介護保険サービスの提供が、今回の介護報酬改定の主要な論点になっています。

明日のブログでは、さらに上を行く高齢者集合住宅のビジネスモデルについて説明します。

(ご参考)平均的な支給限度額に占める割合

要介護度別の支給限度額と平均的な利用率

出典:第145回社会保障審議会介護給付費分科会資料



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