故池田省三氏の「介護保険論」~今後10年を展望した課題~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
正月休みに読みたい本を家に持ち帰りましたが、ほとんど読めないまま日が過ぎてしまっています。
ここは、いけないと思いこの本だけは読もうと決断したのが、故池田省三氏の「介護保険論」です。
しかし、400ページもあるので全部読むのを断念して、第4章の「介護保険の改革方策」だけを読むことにしました。
新年早々、自分の甘さに反省しています。
故池田省三氏はご存知の方もおられると思いますが、厚生労働省の介護保険制度改正に大きな影響を与えています。
池田氏の考え方が、2015年の介護保険制度改正に反映されています。
たとえば、池田氏は「介護保険論」の第4章「介護保険の改革方策」で、次の3つを今後10年を展望した課題として挙げていますが、厚生労働省の介護保険制度の最終意見(「介護保険制度の見直しに関する意見」)に織り込まれています。
- 介護を支える介護サービスへの改革
- 財源確保による制度の安定維持
- 負担と給付を通した社会的公正の確保
介護を支える介護サービスへの改革
- 「現在の在宅サービスは、中重度要介護高齢者の在宅生活を支えきれていない。特に認知症については深刻な事態である。」と指摘しています。
- さらに、「介護サービスの多くは家族の代行サービスレベルにとどまり、本人の生活を回復させていくサービスは少ない。」と指摘しています。
上記の1は、「要支援1、2の訪問・通所介護サービスを新たな市町村事業に移行」として、中重度者重視の方向性を示しています。
また、認知症については「介護保険制度の見直しに関する意見」の中で、多くの文章を割り当て重視していることが分かります。
上記2については、リハビリデイの介護報酬がレスパイトデイより高く設定されると予測されています。
財源確保による制度の安定維持
財源確保については、「要支援1、2の訪問・通所介護サービスを新たな市町村事業に移行」や「高所得者の自己負担割合(現在一律1割)を2割に」という形で実現しようとしています。
負担と給付を通した社会的公正の確保
「預貯金が夫婦で2000万円(単身者は1000万円)を超すと、低収入でも介護施設入所時の食費と入居費の補助は無い」という形で実現されようとしています。
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