訪問介護の生活援助のみの頻回訪問について、分科会の委員の意見
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
訪問介護の報酬改定について、7月5日に開かれた介護給付費分科会において、論点の一つとして次が挙げられました。
「生活援助」のみの利用状況については月31回以上の利用者が一定程度いる中で、身体介護も含めた訪問介護の報酬のあり方について、どう考えるか。
上記の論点に対して、主な委員の意見を発言順に、抜粋してご紹介します。
全文をご覧になりたい方は、第142回社会保障審議会介護給付費分科会資料の次のアドレスにアクセスしてください。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698
訪問介護の頻回訪問に関して、1日に算定可能な報酬の上限を設定するなど制限すべきという意見は、
- 鈴木 邦彦 委員(公益社団法人日本医師会常任理事)
- 本多 伸行 委員(健康保険組合連合会理事)
のお二人で、反対の意見を述べられているのが、田部井 康夫委員(公益社団法人認知症の人と家族の会理事)です。
その他の委員の意見は、次の通りです。
- 東 憲太郎 委員(公益社団法人全国老人保健施設協会会長)
集合住宅でこのような例が多いのかということで、集合住宅とそれ以外とに分けたデータをお出しいただくとありがたい。 - 井上 隆 委員(一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)
100回は極端な例なのかもしれませんが、その原因や、全体の分布がどういうふうになっているのかということも見ながら、対応を早急にお願いしたい。 - 齊藤 秀樹 委員(公益財団法人全国老人クラブ連合会常務理事)
これが本当に妥当性を欠くものなのかどうかという検証がなされなくて、回数のことだけで多い少ないと言っているのは、理解に苦しむ
鈴木 邦彦 委員(公益社団法人日本医師会常任理事)の意見
これも身体介護も含めてということですけれども、軽度者の方は回数を減らすことが考えられます。
一方、一定以上の頻回訪問については、資料にもありますが、1日に算定可能な報酬の上限を設定する、あるいは1カ月当たりの定額にすることなどが考えられると思います。
本多 伸行 委員(健康保険組合連合会理事)の意見
生活援助の必要性は理解するものの、財源は限られていることから、今後は訪問介護については中重度者への給付に重点化していくべきだと思います。
訪問介護のうち生活援助のみの利用状況とありますが、要介護度別の最高回数や利用回数等のデータを踏まえて、要介護度別に、例えば1日の算定可能な報酬の上限設定などの検討も必要ではないかと思います。
東 憲太郎 委員(公益社団法人全国老人保健施設協会会長)の意見
「生活援助」のみの利用状況を調査した結果、1人当たりの平均利用回数が月31回以上の利用が6,600人、それから中には月100回を超えて利用されている方もいるとのデータが示されております。
これほど訪問しなければいけない例があるのかなと疑問に感じます。
この訪問先が独居の方でどうしてもこれだけ訪問が必要だったということなのか、集合住宅でこのような例が多いのかということで、集合住宅とそれ以外とに分けたデータをお出しいただくとありがたいと思います。
井上 隆 委員(一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)の意見
月100回を超える生活援助というのは、誰が見ても異様な数字になっております。
こういう数字が制度自体の信頼性を失いかねません。
100回は極端な例なのかもしれませんが、その原因や、全体の分布がどういうふうになっているのかということも見ながら、対応を早急にお願いしたいと思います。
田部井 康夫 委員(公益社団法人認知症の人と家族の会理事)の意見
私どもからすれば、認知症を持ちながら生活していく人がそういう形でいるということは、十分推測できる数字だと思います。
100回以上といっても、1日3回です。
朝昼晩と行けば3回になります。
事情としては、実際に生活していく上では必要だというふうにも言えますし、本当は身体介護として入らなければいけないのに、回数を入れないから、家事援助という形で回数多く入ることで身体介助もカバーして在宅をやっと成り立たせているというのが実情だということもぜひご理解いただきたいと思います。
齊藤 秀樹 委員(公益財団法人全国老人クラブ連合会常務理事)の意見
頻回利用のことについて指摘されているわけでありますが、31回とか100回が多いとか少ないという数字の議論がありますけれども、これが本当に妥当性を欠くものなのかどうかという検証がなされなくて、回数のことだけで多い少ないと言っているのは、理解に苦しむというか、判断に苦しむわけでありますので、こういうものがどういう実態にあるのかということをよく調べていただいた上で、不適切なものは当然是正していくし、必要なものについての認識も深めていただく必要があるのではないかと思います。
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