実地指導での指摘実例

訪問介護

①提供したサービス(身体介護、生活援助)と請求内容の相違

  1. 指摘:ケアプランと訪問介護計画、実際のサービス提供記録が一致していない。
  2. 指導内容:訪問介護計画では掃除、洗濯のサービスを週1回行うこととなっているがケアプランでは掃除のみ週1回となっていた。また、実際に掃除、洗權を週2回実施しているケアプランが作成されている場合は、その計画に沿ったサービス提供をしなければならない。 訪問介護の提供に当たっては、訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う。訪間介護計画は、ケアプランが作成されている場合は、ケアプランの内容に沿って作成しなければならない。ケアプラン、訪問介護計画に位置づけられていないサービスの提供は認められず、その提供時間分の介護報酬は返還対象となる。

②保険対象外サービスの提供

  1. 指摘:通院介助で、待ち時間を含めて掛かった時間の全てを請求している。
  2. 指導内容:院内介助にあっては、原則として病院のスタッフが行うべきである。例外的に病院のスタッフが対応することができない場合で、利用者が介護を必要とする心身の状態であることなど、ケアマネージャーがケアプランに必要性を位置付けて実施する場合で、主治医等の意見を踏まえ、サービス担当者会議で協議が行われている場合については算定できる。院内介助でのサービスの提供は認められず、院内介助の提供時間分の介護報酬は返還対象となる。

通所介護

①機能訓練指導員未配置等による個別機能訓練加算の算定要件の不足

  1. 指摘:機能訓練指導員が非常動職員であるのに算定
  2. 指導内容:個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定にあたっては、通所介護を行う時間帯を通じて、常勤専従の機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等の配置が必要である。非常動職員である機能訓練指導員の配置の日は個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定は出来ずに介護報酬は返還対象となる。
  3. 指摘・機能訓練指導員が休みの日に、介護職員がサービス提供したとして算定
  4. 指導内容:専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を特定の曜日だけ配置している場合は、その曜日におけるサービスのみが個別機能訓練加算の対象となる。理学療法士等が配置される曜日はあらかじめ定められ、利用者や居宅介護支援事業者に周知されている必要がある。 機能訓練指導員の配置されない日に請求された介護報酬は返還対象となる。
  5. 指摘:機能訓練指導員が看護職員を兼務で、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定
  6. 指導内容:個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定にあたっては、通所介護を行う時間帯を通じて、常勤専従の機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等の配置が必要であり、看護職員の配置が別に求められることとなる。この場合の介護報酬は返還対象となる。

②サービス提供時間の不足による報酬請求区分誤り

  1. 指摘:予約していた医療機関受診のため、6時間の通所介護を行った利用者について7時間以上9時間未満で請求していた [#qfb6b19b]
  2. 指導内容:通所介護計画上、7時間以上9時間未満の通所介護を行っている場合について、当日の利用者の心身の状況から、6時間の通所介護を行った場合には、7時間以上9時間未満の通所介護の単位数を算定できるとされている。当初の通所介護計画に位置づけられた時間よりも大きく短縮した場合は、当初の通所介護計画を変更し、再作成するべきであり、変更後の所要時間に応じた所定単位数を算定しなければならない。この場合も7時間以上9時間未満の通所介護計画を作成した上で、5時間以上7時間未満の請求を行わなといけない。この場合の介護報酬は返還対象となる。

通所リハビリテーション

①リハビリテーションマネジメント加算の回数不足

  1. 指摘:月に4回以上通所していない利用者について加算算定していた
  2. 指導内容:リハビリテーションマネジメント加算は、1月に4回以上通所している場合に1月に1回算定することとなっている。算定要件に従わない請求は認められず介護報酬は返還対象となる。

老健

①従来型個室利用者を多床室利用とした報酬請求区分誤り

  1. 指摘:従来型個室の入所者について、報酬告示に定める要件に該当しないにもかかわらず、多床室の報酬を算定していた
  2. 指導内容:個室入居者を多床室で算定する場合の要件は
    ①感染症等により、従来型個室への入所が必要であると医師が判断した者であって、従来型個室への入所期間が30日以内であるもの②居室の面積が一定以下の従来型個室に入所する者
    ③著しい精神症状等により、同室の他の入所者の心身の状況に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして、従来型個室への入所が必要であると医師が判断した者との規定がある。

この規定以外での個室利用者を多床室での請求は認められず、介護報酬は返還対象となる。

②栄養マネジメント加算の算定開始日誤り

  1. 指摘:栄養ケア計画の記録・同意がないものがあった。栄養ケア計画の同意を得た日からではなく、入所日から算定していた。
  2. 指導内容:栄養ケア計画については、栄養スクリーニングを行い、その結果を踏まえて実施した栄養アセスメントに基づいて、関連職種との話し合いのもと完成させ、入所者又は家族に説明し同意を得ることとされ、同意が得られた日から、当該入所者について、算定を開始することとされている。同意がないものや、同意を得た日以前からの加算の算定は要件を満たさないために介護報酬は返還対象となる。

特養

①個別機能訓練加算の算定誤り

  1. 指摘:他職種共同により個別機能訓練計画を作成していないまま算定していた
  2. 指導内容:個別機能訓練を行うに当たっては、機能訓練指導員、看護職員、介護職員 、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者毎にその目標、実施方法等を内容とする個別機能訓練計画を作成し、これに基づき計画的に行った機能訓練について算定することが求められる。加算要件を満たさないために介護報酬は返還対象となる。
  3. 指摘:個別機能訓練に関する計画がない利用者にも、加算を算定していた
  4. 指導内容:個別機能訓練加算については、単に体制があるだけではなく、個別に計画を作成するなどのプロセスを評価するものとしたとされている。入所者の同意が得られない場合には算定できないために介護報酬は返還対象となる。

居宅介護支援

①退院・退所加算の算定誤り

  1. 指摘:退院・退所後、居宅サービス計画を作成(変更)していなかった
  2. 指導内容:退院・退所加算は、利用者が病院及び介護保険施設等の退院又は退所に当たって、病院及び介護保険施設等の職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報の提供を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合に算定するものであり、居宅サービス計画を作成(変更)していないものは不適切となり介護報酬は返還対象となる。

②医療連携加算の算定誤り

  1. 指摘:利用者が退院する際に算定していた
  2. 指導内容:医療連携加算は、利用者が病院又は診療所に入院するに当たって、病院又は診療所の職員に対して、当該利用者の心身の状況や生活環境等の当該利用者に係る必要な情報を提供した場合に算定される。退院する際には算定出来ずに介護報酬は返還対象となる。

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