従業員を外部の請負業者に変える方法

従業員を外部の請負業者に変えられたら、すなわち雇用契約から業務請負契約に変更できたら、会社には次のようなメリットがあります。

  1. 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)の負担義務がなくなります。これは、会社にとって大きなコスト削減になります。
  2. 従業員でなくなりますから、割増賃金を払う必要もなく有給休暇を与える必要もなく、また健康診断を実施することもなくなるなど労働関係法令に縛られません。
  3. 従業員の場合は自由に解雇したり、賃金を簡単に下げることはできません。しかし、業務請負契約になると契約期間が終了すれば更新するかどうかは自由ですし、料金を下げる交渉も可能です。

この様に業務請負契約は会社にとってメリットが大きいですが、実質的に雇用契約に該当すると判定されないようにすることです。

すなわち偽装請負と指摘されないように、注意しなければなりません。

業務請負契約と雇用契約の違い

従業員の場合は会社と従業員との間に指揮命令関係がありますが、業務請負契約の場合は、会社と業務請負業者との間で指揮命令関係はありません。

ここが、両者の大きな違いです。

それでは、指揮命令関係があるかないかは具体的に何で判断するのでしょうか?

その判断基準として、次の6つが挙げられます。

業務請負契約雇用契約
仕事の依頼、業務従事の指示に対する許否の自由の有無自由に断ることができる。通常であれば断れない。
業務遂行上の指揮監督の有無業務の内容及び遂行方法について、具体的な指揮命令を受けていない。具体的な指揮命令を受けている。
時間的、場所的な拘束性の有無時間や場所を管理され、拘束されていない。拘束されている。
代替性の有無本人に代わって他の者が労務を提供したり、本人の判断で補助者を使用することが可能である。不可能である。
報酬が労務の対価とされているかどうか労務の対価として、報酬は支払われていない。超過勤務手当が設けられているなど、労務の対価として報酬が支払われている。
業務用具の負担関係業務で使用する機械等は自己負担である。会社が負担して使用させている。

形式的は要件を整えておくこと

従業員であるか外部の請負業者であるかどうかは、上記の実質的な判断基準に従って判定されます。

しかし、まず契約書等の形式的な要件を満たしていないと、その実質も疑いの目で見られます。

そこで、次のように請負業者と従業員の違いを確認して、請負業者に該当するよう形式も整えましょう。

請負業者従業員
契約業務委託契約雇用契約
身分個人事業主労働者
所得税の確定申告必要不要
健康保険国民健康保険に加入会社が加入
年金国民年金に加入会社が加入
労災保険個人で加入会社が加入
雇用保険なしあり

業務請負契約作成の注意点

主な注意点は、次の通りです。

  1. 業務の範囲を明確にすること。

    第○条
    甲は、本契約の定めるところにより、以下の業務を乙に委託し、乙はこれを受託する。
    1.△△△△△
    2.×××××

  2. 契約期間を定めること。

    第○条
    契約期間は、平成△△年△月△日から平成△△年△月△日までとする。

  3. 委託料は時間給や日給で決めないこと。

    第○条
    本契約に基づく乙の委託料は、本件商品1個あたり△△円とする。

  4. 所得税の確定申告を提出すること。

    第○条
    乙は、甲から委託された業務その他の業務から生じた所得について、所得税の確定申告をしなければならない。



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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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