小規模デイサービスの基本報酬10%減の根拠
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
今現在、小規模と通常の報酬が約17%違います。
下の図をご覧ください。
小規模型通所介護費は、同じ時間帯(5時間以上7時間未満)で通常規模型通所介護費より16.3%~16.8%高いです。
【通所介護の基本報酬について】
出典:第114回(平成26年11月13日)の社会保障審議会介護給付費分科会
なぜ、小規模の報酬は同じ請求時間で通常規模より17%ほど高いのかというと、小規模に通常規模に比べてスケールメリットがなく固定費がかかり運営コストが高いためです。
サービス提供1回当たりの管理的経費
以上のように、小規模はコストが高くかかるということで、通常規模より17%高い報酬が設定されています。
ところが、平成26年介護事業経営実態調査によると、次の通りサービス提供1回当たりに要する管理的経費は、小規模が通常規模に比べて7.6%高いという結果になりました。
【サービス提供1回当たりの管理経費について】
出典:第114回(平成26年11月13日)の社会保障審議会介護給付費分科会
すなわち、厚生労働省は9.4%(17%-7.6%)多く、介護報酬を払っていることになります。
次の文書を素直に読むと、小規模の報酬は9.4%下がることになります。
出典:第114回(平成26年11月13日)の社会保障審議会介護給付費分科会
9.4%の報酬が下がるというのは、今の報酬と比べてです。
問題は、来年の報酬改定では基本報酬自体が見直されるということで、たぶん通常規模に比べてマイナス査定となります。
基準となる報酬が下げられ、下げられた報酬から、さらに9.4%ダウンすることになるので、10%以上のダウンになります。
小規模デイの報酬は、10%以上ダウンすると予測しておいた方がいいです。
10%ダウンするということは、小規模デイの定員10人で稼働率80%ですと月200万円ぐらいですから、月20万円の売上が減少することになります。
20万円を一般経費から減らすことは難しです。
そうすると人件費を見直すしかありません。
20万円は、介護職員1名分の給料に相当します。
処遇改善加算と定期昇給
今現在の処遇改善加算のキャリアパ要件は、本来であれば就業規則や賃金規程を整備しなければなりません。
ほとんどの在宅事業者は、この就業規則や賃金規程を整備していません。
どうしているかというと、介護職員の研修費用の一部を負担するということで、キャリアパス要件を満たしています。
7月28日の日経新聞の記事を読むと、算定要件を見直すというものでした。
介護職員の研修費用の一部を負担するという簡便法では算定できません。
あくまでも就業規則や賃金規程の中で、キャリアアップの要件が入っていないと処遇改善加算は算定できません。
小規模事業者は、賃金規程で要件を満たすということになると、定期昇給になるので嫌います。
なぜなら、介護報酬は3年間変わりませんが、定期昇給にすると毎年、昇給しなければなりません。
そうすると処遇改善加算を算定しないという事業所も結構出てくるのではないでしょか?
もし、処遇改善加算を算定しないとデイサービスでは2.5%、訪問介護で4%の報酬が減ります。
処遇改善加算を算定しない場合でも、職員の給料は下げられませんから、デイサービスの報酬が10%ダウンし、さらに処遇改善加算を算定しないとなると2.5%ダウン、あわせて実質12.5%ダウンとなります。
このページに関連する記事
お泊まりデイサービスの延長加算は算定不可に
デイサービスの送迎と居宅内介助の評価見直し
お泊まりデイの書面による届出制の意味
小規模多機能型居宅介護事業所のサテライト型事業所
デイサービスの看護職員の配置基準緩和について
デイサービスの地域連携の拠点機能
デイサービスの「生活機能の維持・向上機能」の介護報酬上の評価
デイサービスの「認知症対応機能」と「重度者対応機能」の介護報酬上の評価
松本会計メルマガ登録
下記のすべてをご入力いただき、「確認」ボタンを押してください。