介護ロボットの現状

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

厚生労働省は、ロボット技術を使って介護現場の労力を軽くする機器の開発や普及を支援するという記事が日本経済新聞(2013年7月6日)に掲載されていました。

そこで、厚生労働省の第45回社会保障審議会介護保険部会(平成25年6月7日)で議論されている内容や資料をご紹介したいと思います。

介護ロボットの現状

介護分野の人材について

介護分野の人材不足が指摘されている。介護分野の人材を確保するとともに、限られたマンパワーを有効に活用することが求められている。

施設介護職員における腰痛問題について

首や肩などを含む腰痛などについて、施設の介護職員の約7割が、「現在ある」と回答している。また、「現在痛みのある」部位は、腰部(90.1%)、肩(68.9%)、首(52.6%)の順で高値を示している。

施設における福祉・介護機器について

最近3年以内に「新たな機能」の付いた福祉・介護機器を導入した施設は、1割台にとどまった。また、これらの機器を導入した目的は、「介護職員の介護負担の軽減」が6割以上を占めた。

施設における介護ロボット導入について

施設における介護ロボット導入について、施設管理者の3割以上が、「適切なものがあれば導入を検討したい」と回答している。

施設管理者の介護ロボット導入の考え方

また、介護スタッフについては、5割近くが「適切なものがあれば導入を検討したい」と回答している。

介護スタッフの介護ロボット導入の考え方

介護ロボット導入を現在の介護の現場にあてはめて考えた場合の評価は、施設管理者、介護スタッフとも、「現場は介護ロボットに関する認知がなく評価できる状況ではない」、「導入により介護負担が軽減されることへの期待はある」の2項目への回答が高い。
施設管理者・介護スタッフの評価

取り組みについて

高齢者の自立支援や介護者の負担軽減を図るため、平成24年度に経済産業省と厚生労働省は、今後の開発・実用化に係る重点分野を策定。
平成25年度は、介護現場と開発現場のマッチング支援(実証試験)の増加、介護現場にロボット技術を周知するため普及・啓発を行うなど、さらなる実用化に向けて取り組む。

今後の開発等の重点分野
今後の開発党の重点分野

桝田和平氏(全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)の意見

介護ロボットというのはこれから進めなければいけない非常に重要な項目という形で全国老施協は認識しておりますけれども、ただ、介護職員にかわってロボットを導入するというのは夢物語です。

今、現実に私どもが進めているのは、

  1. 負担軽減のための道具をどうつくっていくのか、
  2. それと利用者にとって安全性をどう図っていくのか。
  3. 職員が直接介護するよりも道具を使ったほうが安全性は保てる問題。
  4. 時間が短縮できると、その方とかかわる時間をふやしていくことも可能になる。
  5. 介護職員さん本人は腰痛問題等を抱えていますけれども、その解消策にもなる。
    そういう負担軽減のための介護機器、ロボットをもっと積極的に開発していただいて、介護現場、施設だけではなくて在宅の中にも入れていく必要があるだろうと。その部分のこれからの研究開発というのは非常に重要な部分と考えております。

木村隆次氏(日本介護支援専門員協会会長)の意見

  1. モニターをしてくれる施設が被験者を確保することが困難、
  2. 安全性に関する基準や有効性等を評価する方法が構築されていない、
  3. 実証することが困難、
  4. データ収集が困難、
  5. 倫理審査の問題
    等々、これは日本が世界に優れている医薬品開発のプロセスがあるわけですから、そういうものをまねて早く現場に優れた介護ロボット等の福祉機器を出せるような環境を整えてもらいたいと思います。 


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