24時間巡回訪問サービス、導入いまだ1割弱
こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。
日本経済新聞の2013年7月8日に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、「24時間巡回訪問サービス」)に関する記事が載っていました。
記事には,24時間巡回訪問サービスは在宅介護の切り札として昨年導入されましたが全国の市町村・広域連合で実際に始めているのは10%弱にとどまり、普及していないと書かれています。
下の表は、24時間巡回訪問サービスを導入している保険者の数を都道府県別に集計したものです。
平成25年5月末時点で、24時間巡回訪問サービスの保険者数は150で、全体の1580に対して1割にも達していません。
表をみると、24時間巡回訪問サービスの保険者の数がゼロの都道府県があります。
ゼロの県は、青森県、秋田県、宮城県、群馬県、栃木県、島根県、徳島県、高知県、宮崎県です。
24時間巡回訪問サービスは、大都会の真ん中で中学校区に1事業所をイメージして導入されました。
したがって、過疎地域で24時間巡回訪問サービスが導入されるのは、高齢者住宅に移り住んだ高齢者を対象とする場合は考えられますが、そうでない場合は導入するのは難しいです。
そのため、全国で24時間巡回訪問サービスを導入していない都道府県があるのは当然かもしれません。
24時間巡回訪問サービスの保険者数(平成25年5月末) ※老健局振興課調べ
北海道 | 5 | 青森県 | 0 | 秋田県 | 0 | 岩手県 | 3 | 山形県 | 2 | 宮城県 | 0 |
福島県 | 3 | 群馬県 | 0 | 栃木県 | 0 | 茨城県 | 2 | 埼玉県 | 12 | 千葉県 | 9 |
東京都 | 24 | 神奈川県 | 7 | 新潟県 | 3 | 富山県 | 1 | 石川県 | 2 | 福井県 | 3 |
山梨県 | 1 | 岐阜県 | 3 | 静岡県 | 3 | 愛知県 | 8 | 三重県 | 2 | 滋賀県 | 3 |
京都府 | 4 | 大阪府 | 13 | 兵庫県 | 4 | 奈良県 | 2 | 和歌山県 | 1 | 鳥取県 | 3 |
島根県 | 0 | 岡山県 | 1 | 広島県 | 5 | 山口県 | 1 | 香川県 | 1 | 愛媛県 | 1 |
徳島県 | 0 | 高知県 | 0 | 福岡県 | 5 | 佐賀県 | 1 | 長崎県 | 3 | 熊本県 | 3 |
大分県 | 2 | 宮崎県 | 0 | 鹿児島県 | 3 | 沖縄県 | 1 | 合計 | 150 |
24時間巡回訪問サービスが普及しない理由(日本経済新聞)
日本経済新聞(2012.12.4夕刊)には、24時間巡回訪問サービスが普及していない理由として、次を挙げています。
- 「夜間や早朝は利用者が寝ている時間帯で、そもそもニーズがない」
- 「対応してくれる事業者がない」と導入に及び腰の自治体が多いこと。
- また、夜間、早朝も含めた定期巡回のケアプラン(介護計画)は複雑で、プランを作成するケアマネージャーの負担が増えること。
- さらに、「使い放題となり、自立支援にはつながらない」など制度自体を疑問視する声があります。
24時間巡回訪問サービスが普及しない理由(三菱UFJ リサーチ&コンサルティング)
三菱UFJ リサーチ&コンサルティングの実態調査によると、24時間巡回訪問サービスの実態について正しく認識・理解されておらず、そのことが参入に対する障壁となっていることが明らかになりました。
次のアンケート結果から分かるように、24時間巡回訪問サービスへの参入障壁と回答している事業所が、参入事業者より未参入業者の方が多い事例があります。
これは、未参入業者が24時間巡回訪問サービスの実態について正しく認識・理解されていないことを意味し、それが未参入業者の参入障壁になっているのではないかと想像されます。
アンケート結果
回答した参入障壁 | 未参入事業者 | 参入事業者 |
---|---|---|
夜間、深夜の訪問体制構築 | 95.4% | 46.5% |
随時対応を行う職員体制構築 | 95.7% | 64.2% |
随時対応の発生頻度の予測 | 79.5% | 33.3% |
看護職員の確保、連携先となる訪問看護事業所の確保 | 79.9% | 53.6% |
看護職員や訪問看護事業所との連携対応 | 67.8% | 42.9% |
ケアマネジャーへの周知と理解 | 41.4% | 77.0% |
利用者、家族への周知と理解 | 50.8% | 73.1% |
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