介護事業所は二極化しています。
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護事業所は赤字を出しているところと、黒字を出しているところの二極に大きく分かれています。
少し古いデータになりますが、平成20年度の介護事業経営実態調査結果をご覧ください。
下の図は、訪問介護収支差率の分布図です。
一番左がマイナス20%以下で、一番右側がプラス25%以上です。
訪問介護収支差率分布
不思議な現象だと思われませんか?
なぜなら、介護報酬の単位(売上単価)は全国一律で、しかも人件費相当分について、国家公務員の調整手当を基本として地域差を勘案するため地区区分が設けられ報酬単価に反映されているからです。
このような状況のもとで、どの事業所も全国的に平均的な利益が生じるように思うのですが、そうはなっていません。
この現象は訪問介護だけでなく、通所介護や居宅介護支援でも同じことが起きています。
通所介護収支差率分布
居宅介護支援収支差率分布
なぜ、二極化しているのでしょうか?
私なりに考えてみました。
下の図(イメージ図)は、昨日のブログで書いた図に費用の線を加えたものです。
介護事業所の特徴は、昨日のブログにも書きましたように、ご利用者様と契約を結ぶとリピーターとして特別なことがない限り売上が継続することを約束されたようなものです。
したがって、上図のように売上高は一つ一つのご利用者様との契約が増えるのにしたがって、年月の経過とともに増えていくのが一般的です。
一方、経費の中でもそのほとんどを占めている人件費は、開業時から一定の人員(たとえば、訪問介護なら常勤2.5人など)を配置しなければなりません。
つまり、上図のように一定の売上の範囲内では、費用は売上の増減とは関係なく一定(固定費)です。
損益分岐点(売上高=費用)を超えると、いっきに利益が出る構造になっています。
この点、介護事業所は製造業に似ているところがあります。
このように、私は二極化している原因は人員基準にあると考えています。
介護事業を始めた方は、早い段階でご利用者を獲得することに全力を注ぐ必要があることをご理解いただけたでしょうか?
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