介護保険の利用者負担割合2割が介護事業者に与える影響

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

厚生労働省が打ち出した、一定以上の所得者について介護保険の利用者負担割合を1割から2割に引き上げることについて、次の2案が検討されていることはご存知だと思いす。

一定以上の所得者の範囲について、

  1. (第1案)夫婦世帯で年収359万円(単身者280万円)以上
  2. (第2案) 同369万円(同290万円)以上

のいずれかに決定されます。

いずれに決定されようと、一定以上の所得者については介護保険の利用を控えようとする動きがでてくる可能性があります。

そこで介護事業者にとって気になるのが、どの程度の影響があるかです。

以下で述べる通り、

  1. 被保険者全体の上位約20%しか該当しないこと。
  2. 該当しても高額介護サービス費(※)に該当する者が多いこと。

から、意外と影響は少ないかもしれません。

被保険者全体の上位約20%が該当

第1案の単身者の年収280万円は、公的年金等控除120万円を控除して、所得は160万円になります。

同様に、第2案の単身者の年収 290万円は、公的年金等控除120万円を控除して、所得は170万円になります。

下の表の通り、第1案にしろ第2案にしろ被保険者全体の上位約20%が該当 します。

介護保険料の段階・課税層の所得段階別の被保険者

一定以上所得者を2割負担とした場合の影響

下の表をご覧ください。

① 居宅サービス(訪問介護や通所介護など)利用者の負担の変化を見ると、軽度者は負担が2倍となりますが、要介護度が上がると高額介護サービス費(※)に該当する者が多くなり、負担の伸びが抑えられます。

② 一方、施設・居住系サービスについては、要介護度別の平均費用で見ると、ほとんどの入所者が高額介護サービス費(※)に該当することとなって負担の伸びが抑えられます。

一定以上所得者を2割負担とした場合の影響

(※)現行の高額介護サービス費

高額介護サービス費は、

利用者負担額(1割)>負担上限額

となった場合、その差額分を償還給付するという制度です。

また、低所得者(第1~第3段階)については、負担上限額を引き下げて、さらに負担軽減がなされています。

例えば、生活保護の被保険者が、1ヶ月15,000円以上負担する場合は、その超過額の償還がなされます。

【所得段階別の負担上限額】
所得段階別の負担上限額

なお、高所得者(夫婦で年収520万円以上)の負担上限額を、次の通り約2割引き上げることが検討されています。

現在 3万7,200円  ⇒  2015年度から4万4,400円


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