総合事業は介護事業者の経営を厳しくするか?
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護保険最新情報vol.355別紙2「介護保険制度の改正事項に関する考え方」において、Q&Aが公表されています。
その中で次の質問があります。
報酬が引き下げられ、事業者の経営が厳しくなったり、サービスの質が低下するのではないか。
上記の質問に対して、次の回答がなされています。
○ 今回の見直しによって、市町村は、多様なサービスを用意することとなるが、その際には、サービスの内容に応じて、人員配置・サービスの単価・利用者負担を設定。
○ サービスの単価は、現在の報酬単価以下で市町村が設定することとなる。専門職が必要なサービスを行う場合には、専門職の人件費が賄える単価設定が適切であり、指針(ガイドライン)で、その旨を明記。
○ 既存の介護事業者は、専門性や経験を生かして、増加する要介護高齢者に対応。
専門職の人件費を賄える単価設定
介護予防訪問介護と介護予防通所介護が、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)に移行されると、総合事業の報酬が下がるのでなないか、下がるのであれば総合事業はできないと考えておられる介護事業所様がおられると思います。
これに対して、厚生労働省は専門職の人件費を賄える程度の単価設定がされるので報酬は大きく下がらないし、その結果サービスの質が低下することはないと回答しています。
介護事業者は総合事業はするべきか?
このように介護事業者が行う総合事業の報酬は、現在の報酬単価以下で専門職の人件費が賄える単価設定であると、厚生労働省は回答しています。
つまり、今の報酬以上になることはないが、報酬は現状維持か下がっても大きく下がることはないと言っています。
そうであるならば、介護事業者は総合事業をしても経営が厳しくなることはないので続ける意味があります。
しかし、「既存の介護事業者は、専門性や経験を生かして、増加する要介護高齢者に対応。」と書かれており、介護事業者は総合事業はせず、介護保険が適用される要介護者にサービスを提供するようにと書かれています。
矛盾があります。
介護事業者の総合事業の報酬単価は今と大きく変わらないのに、総合事業はやめて要介護者にサービスを提供してくださいと書かれているからです。
これは、次のように理解できます。
介護事業者が行う総合事業の報酬単価は、今とほとんど変わりませんが、ボランティアなどを市町村が確保できるに応じて、徐々に介護事業者からボランティアなどに移行するので、介護事業者の総合事業の仕事はなくなります。
介護事業者は、総合事業の仕事がなくなったら介護保険が適用される要介護者にサービスを提供するようにと厚生労働省は言っていると解釈できます。
しかも、「増加する要介護高齢者」にと書かれている意味は、これから高齢者はどんどん増えていくので、総合事業をしなくても仕事はいっぱいありますよと厚生労働省は言っているように思います。
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