夕張市は救急車の出動回数が半減

こんにちは。大阪に介護専門税理士の松本昌晴です。

昨日のブログで、救急車の出動回数が増えていることを書きました。

今日は、夕張市で救急車の出動回数がなぜ半減したか、について書きたいと思います。

夕張市と言えば、皆さんご存知の通り財政破綻した市です。

2007年に財政破綻し、同時に医療も崩壊しました。

市内にあった170床の総合病院は19床の診療所になり、入院していた患者さんは病院を退院して在宅に戻られました。

ところが、その後の救急車の出動回数が半分になっているそうです。

また、医療崩壊したにもかかわらず死亡者数は変わらず、住民の健康には影響しなかったそうです。

この話は、医療崩壊後に診療所の所長になられた森田洋之氏が講演で言われていました。

そして、その理由を森田氏は次のように推測しています。

「たぶん、住民の意識が病院があればなんとなく安心という意識から、病院がなくても自分たちで支え合おうという意識に変わったのではないか?」

また、森田氏は93歳の肺がんのおばあちゃんの事例を紹介し、医療が崩壊しても地域が支えたら、高齢者はイキイキして暮らせると述べています。

森田氏が紹介した、93歳の肺がんのおばあちゃんの事例は次の通りです。

「肺がんを告知され、入院して抗がん剤や放射線治療を医師に勧められましたが、93歳のおばあちゃんは拒否し自宅に戻り在宅医療で最期まで暮らしました。地域の皆さんと一緒に暮らしながら、家族に見守れながら最期まで自宅で暮らしたいというのが希望でした。救急車は命を助けてもらうために呼ぶのですが、そのおばあちゃんは命を助けてもらいたいと思っていませんでした。救急車を呼んだら、もう家に戻れないということが分かっています。」

こういう高齢者の人たちが増えると、救急車の出動回数はどんどん減っていきます。

命を地域全体で支えることができると、医療が崩壊しても地域で高齢者はイキイキとして最期まで暮らせることができます。

地域包括ケアシステムの目指す理想が、皮肉にも財政破綻した夕張市で実現されています。

住民の意識が変わらなければ、地域包括ケアシステムの実現は難しいと感じました。




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