改正介護保険法審議の行方~生活援助は人員基準を緩和して介護報酬の減額?~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
10月12日に開催された社会保障審議会の介護保険部会で、訪問介護の生活援助サービスを介護保険外にすることについて、
- 介護予防・日常生活支援事業(以下「総合事業」と言う。)は、まだ多様なサービスの展開が十分に行われていないこと。および
- 総合事業の評価が十分に行われていないこと。
を理由に、来年の介護保険法の改正には盛り込まれない見通しとなりそうです。
このことは昨日のブログでも書きました。
人員基準を緩和して介護報酬の減額の可能性
生活援助が介護保険から外れないとしたら、訪問介護事業所の方にとっては朗報であるかもしれません。
しかし、安心はできません。
なぜなら、生活援助の人員基準を緩和して介護報酬を減額することが、これから議論されるからです。
この議論の前提になっているのが、
- 人材不足の中で専門性の高い身体介護などに、人材を配分すべきである。
- 訪問事業所が提供している生活援助サービスには、自立支援につながらないサービスを万全と提供しているものがあるのではないか?
ということがあります。
今後、人員基準の緩和については、来年の介護給付費分科会において介護報酬改定の審議の中で議論される可能性があります。
つまり訪問介護の生活援助について、人員基準を緩和して同時に介護報酬も減額することが検討されるということです。
そうなると生活援助が介護保険から外され、総合事業に移行されたとしても、当面現行の生活援助の報酬と同じであれば、介護保険から外れた方が介護事業者としては良かったということになります。
いずれにしても訪問介護事業者としては、介護保険部会の動向には目が外せません。
軽度者の生活援助の自己負担を上げる
さらに生活援助を介護保険のままにし、生活援助を介護保険で利用できるにしても、その利用者の自己負担を引き上げようではないかという議論が今後行われる予定です。
その議論の根拠になるのが、次のデータです。
介護保険の生活援助では1回当たり利用者負担額は、20分以上45分未満で1割負担の場合、平均187円程度ですが、民間家事代行サービスを利用する場合、安くても1時間925円(交通費別)であり、介護保険を利用すれば民間の家事代行サービスに比べ著しく割安となっていて、不公平であるという指摘がなされています。
一方、次の様な理由で反対する意見もあります。
- 例えば、要介護3の方が改善されて要介護2になると、自己負担が増えるので改善しようとするインセンティブがなくなるのではないか?
- 生活援助サービスを提供することにより、利用者の状況が把握できるというプラスアルファがある。