改正介護保険法審議の行方~2割負担導入の影響~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

平成12年に介護保険制度が創設されたときから、利用者の経済力に関係なく利用者負担は1割でしたが、平成26年の制度改正で一定の所得以上(年金収入のみの場合は280万円以上)の利用者については2割負担となりました。

厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会では、この利用者負担について、さらにどの様に負担を求めていくのかということが議論されています。

2割負担の導入で利用控えは起きたか?

もし2割負担の導入により著しく利用控えが生じていれば、2割負担拡大には反対意見が出されるでしょうが、厚生労働省の調査によれば下図のように受給者の伸び率は2割負担導入前後で、大きく下落していないことが明らかにされています。

画像の説明
出典:第67回社会保障審議会介護保険部会資料(平成28年10月19日)

上図の通り、半年ごとの受給者数の対前年度伸び率を見ると

  1. 平成25年2月~平成25年7月分 4.9%
  2. 平成25年8月~平成26年1月分 4.4%
  3. 平成26年2月~平成26年7月分 4.2%
  4. 平成26年8月~平成27年1月分 3.9%
  5. 平成27年2月~平成27年7月分 3.8%
  6. 平成27年8月~平成28年1月分(2割負担導入後) 3.4%
    となっており、著しい利用控えは生じていないという状況です。

私の顧問先の介護事業所様からも、2割負担になって利用控えがあって困っているという声は聞いたことがありません。

以上から、利用者負担を引き上げようとする議論はされるでしょうが、どの様に引き上げるかという具体論になると、次の様々な意見が出されており、いまだ結論は出ていません。

  1. 特に現役世代並みの所得がある人には、より多くの負担を求めることも検討すべきである。
  2. 利用者負担、保険料負担のバランスを欠くと制度への信頼性が揺らぐことになる。
  3. 医療では2割、3割の負担を求めており、介護保険でも応分の負担増が必要である。

また次の様な反対意見も出されています。

  1. 介護保険の利用者は重度化、長期化するので、医療と同列に扱うべきではない。
  2. 2割負担導入により月の負担が5万円から10万円に跳ね上がった人もいるので、さらなる負担増は慎重に議論する必要がある。




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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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