財務省は介護給付費の抑制を再度提言~介護納付金の総報酬割 ~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
財務省が提言している介護給付費の抑制策の2つ目は、「介護納付金の総報酬割」です。
第2号保険料(介護納付金)の仕組み
介護給付費の総額は9.6兆円ですが、そのうちの半分は国や地方が負担し、残り半分を65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの第2号被保険者が負担しています。
【第2号保険料(介護納付金)の仕組み】
出典:財務省「平成29年度予算の編成等に関する建議(平成28年11月17日)」
介護納付金の総報酬割
第2号被保険者(40歳~64歳)が払う介護保険料(介護納付金)は、人頭割が採用され一人当たりの介護保険料は均等に設定されています。
人頭割は一見平等のようですが、負担能力(総報酬)に応じたものでないため、給料の多い人と少ない人では、負担割合は異なり給料の低い人にとっては、介護保険料の負担は大きいです。
人頭割の場合は下図の左の棒グラフの通り、被用者1人当たりの保険料負担率は、上位10健保組合で0.73%、協会けんぽで1.63%、下位10健保組合で2.28%と負担率は大きく違っています。
【総報酬割導入による被用者1人当たり保険料負担率の変化】
出典:財務省「平成29年度予算の編成等に関する建議(平成28年11月17日)」
人頭割が負担能力に応じたものになっていないことについて、不公平であると指摘から、総報酬割を導入し上図の通り1人当たりの負担率を平等(1.54%)にするとともに、協会けんぽの国庫補助金(1.95%)が減少することも効果があるとしています。
介護保険部会の議論
10月19日に開催された介護保険部会では、総報酬割を導入することに賛成する委員が多かったが、企業側の代表である経団連は難色を示し、どの様な結論になるか今のところ不透明です。
ただ、経団連の榊原会長は「総報酬割」の導入について、介護分野での歳出削減が行われることを条件に容認する考えを示しており、妥協点を探る展開になっています。