2.社会保険料削減の検討前に知っておくべき、社会保険・労働保険の概要~社会保険料の算定方法~

こんにちは。大阪に介護専門税理士の松本昌晴です。

社会保険料の算定方法について、ご説明します。

労働保険料

労働保険料は、労災保険料と雇用保険料とを合わせて納付されるため、労働保険料を計算する際に労災保険料と雇用保険とが一緒にまとめて計算されます。

【計算方法】
労働保険料=(4月から翌3月までの年間支払賃金総額)×保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)

労災保険料

労災保険料率は、事業の種別により労災の危険性が異なるため、最高1000分の88から最低1000分の2.5まで、料率が細かく分かれています。

労災保険については、全額事業主負担です。

雇用保険料

雇用保険については、労使ほぼ折半となります。(事業主のほうが多い)

一般の事業を見ると労働者負担が1000分の4で事業主負担が1000分の7で、合わせて1000分の11を納付することになります。

事業主負担が多いのは、助成金の原資になる表にある雇用保険二事業の保険料率1000分の4(助成金の原資)
画像の説明

厚生年金保険料及び健康保険の保険料

給料

厚生年金保険、健康保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます。

厚生年金保険や健康保険は、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅(だいたい2万円~3万円)で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料として計算します。

賞与

賞与についても社会保険料の対象となります。

賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたものに保険料率を掛けた金額が保険料となります。

賞与の社会保険料の上限は、健康保険で年間賞与合計が573万円、厚生年金で賞与一回に付き150万円です。

厚生年金保険料及び健康保険の対象となる報酬

基本給や残業手当、通勤手当など月々支払われる手当も対象となります。

通勤手当については、所得税については一定額までは非課税ですが、社会保険料の計算においては全額報酬とされて社会保険料の対象となります。

社会保険の対象とならないものとして、臨時的なもの (退職金、解雇予告手当、臨時的な大入り袋など)や実費弁済的なもの(
出張旅費など)があります。

画像の説明

社会保険料率

厚生年金保険料率は全国一律17.828%、健康保険料率については都道府県別に9.79%(新潟県)〜10.33%(佐賀県)で、健康保険、厚生年金保険料共に労使折半です。

決定方法

資格取得時の決定入社時の報酬によって決定されます。
定時決定毎年4月、5月、6月の報酬の平均によって決定され、7月10日までに手続き実施し、9月分から適用されます。
随時改定標準報酬月額等級が2等級以上、3カ月連続昇降した時に改定します。

社会保険の改正について

平成28年10月施行の社会保険加入要件拡大され、従業員501人以上の事業所(平成31年以降は従業員500人以下の事業所も適用予定)については、

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金88,000円以上
    (年収106万円以上/残業代や交通費などは含まない)
  3. 継続して1年以上雇用されることが見込まれること

以上3つの要件を満たすと、社会保険に加入しなければならなくなりました。



詳しくは社会保険労務士にご相談ください。
なお、改正により変更されることがありますので、最新の情報をご確認ください。




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