6.社会保険料削減~標準報酬額を見直し~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

社会保険料は、年収で決定されるのではなく、等級(標準報酬月額)によって決定されるという制度になっています。

例えば、月収300,000円の場合は、下の保険料額表を見て300,000円に該当する行を確認します。

そうすると月収300,000円は、報酬月額290,000円以上310,000円未満の範囲に該当し、健康保険料は月額本人負担額(40才未満で介護保険料の負担にない方)15,195円になり、厚生年金保険料は27,273円になります。

すなわち月収が290,000円以上310,000円未満の範囲内なら、社会保険料は同じになります。

多くの企業はこれを意識せず、月給額や報酬額を決定しています。

月給額を標準報酬等級の上限側にできるだけ寄せることで、一段低い等級で保険料を算定することができるので、保険料の削減になります。

事例(大阪府の場合)

下の保険料額表をご覧いただくと、報酬月額が増えるほど(表の下の行にいくほど)報酬月額の幅が開き社会保険料の節減効果は大きくなります。

事例
40才未満の従業員で

  1. 月給額 309,900円(標準報酬月額300,000円)
  2. 月給額 310,000円(標準報酬月額320,000円)
    の場合について社会保険料を計算してみましょう。

月給額 309,900円と月給額 310,000円との差額は、100円ですが社会保険料は大きく違います。

月給額 309,900円(標準報酬月額300,000円)の社会保険料

下の保険料額表に当てはめると、健康保険料15,195円(本人負担分、以下同様)、厚生年金保険料27,273円で合計42,468円になります。

月給額 310,000円(標準報酬月額320,000円)の社会保険料

下の保険料額表に当てはめると、健康保険料16,208円(本人負担分、以下同様)、厚生年金保険料29,091円で合計45,299円になります。

両者の比較

4月に昇給して月給額を310,000円にするのではなく、あえて100円低くして月給額を309,900円にすると、社会保険料は45,299円から42,468円へと2,831円低くなります。

年間に換算すると、給料は100円×12ヶ月で1,200円減りますが、社会保険料が2,831円×12ヶ月=33,972円減り、プラスマイナスで32,772円得することになります。

もっとも社会保険料の減少によって所得税等が増えるので、実質的には所得税率等を30%と仮定すると 32,772円×(1-30%)=22,940円の得になります。

サラリーマンにとって、年間22,940円の負担軽減は大きいです。

会社にとっても、ごくわずかですが給料負担の減少と社会保険料負担の減少が可能となります。

画像の説明

出典:大阪府の平成29年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表


詳しくは社会保険労務士にご相談ください。
なお、改正により変更されることがありますので、最新の情報をご確認ください。




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