「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の課題~サービスの集合住宅への偏重~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

介護報酬を審議する介護給付費分科会から、新たな資料が公表されました。

今日は、新たな資料の中から「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の介護報酬改定の論点の一つになっている、次の点について解説します。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、そのサービス提供の多くが、集合住宅に居住する利用者に対して行われているが、地域全体へ必要なサービスが行き届くようにするためにはどのような方策が考えられるか。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のあるべき姿

厚生労働省が描いている「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のあるべき姿は、高齢者が重度になっても在宅で安心して住み慣れた地域で過ごせるため、

  1. 要介護高齢者の在宅生活を24時間支え
  2. 医療ニーズが高い高齢者に対して医療と介護とを連携
    させて介護サービスを提供することにあります。
定期巡回・随時対応サービスのイメージ

出典:社会保障審議会介護給付費分科会第138回(H29.5.12) 参考資料

この様に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、地域包括ケアシステムを実現するために必要な介護サービスです。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の課題

地域包括ケアシステムは、日常生活圏域(具体的には中学校区)全域に必要なサービスが行き届く必要がありますが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の実態は、「サービス付き高齢者向け住宅」などの集合住宅の偏重していています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の実態(平成27年10月)によりますと、 併設している集合住宅に居住する利用者は平均7.4人(44.8%)、非併設の集合住宅に居住する利用者は平均3.5人(21.1%)となっており、地域全体へ必要なサービスが行き届くことが課題となっています。

介護報酬改定に、この課題を解決するため、どのように織り込まれるか注目されます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の実態

出典:社会保障審議会介護給付費分科会第138回(H29.5.12) 参考資料

訪問介護の場合、平成27年3月までは、例えば高齢者住宅の1階に訪問介護事業所があって、その集合住宅の利用者が30人以上いると報酬が10%減になりましたが、平成27年4月からは1人でも10%減算になりました。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」についても、集合住宅減算の考え方が検討されるのでしょうか?

このブログに関連する記事

訪問系サービスの集合住宅減算




a:3508 t:1 y:0