訪問介護事業者が需要を誘発している可能性がある?

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

大阪府の高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会報告書「大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について」(平成28年12月16日)は、訪問介護事業所やデイサービスの事業所にとって驚くべき内容になっています。

その内容をご紹介します。

次は一部を抜粋したものです。

○人口が密集し、介護事業者が多数存在する大阪府では、利用者(需要側)が必要以上にサービスを利用する側面と、事業者(供給側)が需要を掘り起こす側面との両面が想定される。
○軽度者の段階から、生活援助系サービスを多用し過ぎることで、かえって廃用症候群を招くおそれ。

事業者(供給側)が需要を掘り起こす側面とは

事業者(供給側)が需要を掘り起こす側面とは、訪問介護事業所などの介護事業所が売上を上げるため、利用者に過剰なサービスを提供し、一人当たりの介護給付費が多くなっているのではないかと指摘していることを意味します。

それを説明する資料が、次のグラフです。

事業者誘発需要の可能性

出典:大阪府高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会報告書「大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について」

左側の訪問介護事業所の方で説明します。

縦軸に第1号被保険者一人当たり給付月額、横軸に被保険者千人当たり事業所数で両者の相関関係を示しています。

このグラフが示していることは、訪問介護事業所が増えれば増えるほど、一人当たりの介護給付費が増える、すなわち需要を掘り起こしているのではないかと言いたいのです。

需要を掘り起こしているということは、それだけサービスが行き届いていると解釈することもできますが、大阪府は過剰なサービスが提供されているのではないかと主張したいのだと思われます。

デイサービスも、右のグラフを見ると同様の現象が生じています。

私のブログをお読みいただいている方は、上のグラフを見てピンとこられた方もおられると思います。

財務省も同じ主張をしている

それが下の図で、全国単位ですが同じ傾向にあります。

画像の説明
出典:財政制度分科会(平成26年10月8日開催)資料一覧

以上の様に「事業者密度」と「被保険者一人当たり給付月額」などの介護費との関係性は高い相関があると確認されたわけですが、この現状に対して、今回の介護報酬改定でどの様な検討がなされるのか、介護給付費分科会の議論に注目しなければなりません。

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