2017.08.07
カテゴリ:平成30年介護報酬改定
特養は医療ニーズへの対応が課題
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、略して「特養」)に入所している人は、要介護度が高く(平均3.87)、また平均在所日数は約1,400日であり、生活施設としての性格を有し、「終の棲家」と言われています。
そのため特養は医療ニーズが高いです。
しかし特養は、医師を配置しなければなりませんが、その人数については「健康管理および療養上の指導を行うために必要な数」としか人員配置基準に記載されていません。
また、ほとんどの特養では夜間に医師や看護師がおらず、「介護職員だけで重篤な人に対応するのは非常に心細いと思う」という意見が、介護給付費分科会の委員から出されています。
この様なことから特養では、医療サービスの提供を抜本的に改革するということが、今回の介護報酬改定に当たって大きなテーマになっています。
特養における医師配置や医師の勤務状況に関する調査
介護給付費分科会では、特養における医師の配置や医師の勤務状況などに関する調査結果が明らかにされています。
その中から主なものを、次に抜粋しました。
- 1施設あたりの常勤換算の平均職数は、医師0.2人、看護職員3.8人、介護職員29.6人です。
- 常勤の医師がいる施設は1.1%、非常勤医師がいる施設は95.3%です。
- 非常勤の配置医の平均的な1週間の勤務時間は、平均3.6時間で「4時間以下」の施設が71.7%です。
- 配置医の定期診療の回数(平均的な回数)について、日中は「1回/週」が4割強と最も多く、夜間および休日は「0回」がそれぞれ9割超になっています。
- 緊急対応の回数は、日中は平均1.5回/月、夜間は0.4回/月、休日は0.2回/月でした。
【特別養護老人ホームの職員配置等】
外部の医師との連携
上の特養の現状を踏まえて、介護給付費分科会の委員からは、次の様な意見が出ています。
- 老衰型の看取りについては、配置医と必要に応じた外部医師との連携によって対応できる体制を構築する必要がある。
- 一方、医療ニーズの高い入所者に対しては、介護老人保健施設や新設される介護医療院で対応する。
- 必要に応じて訪問看護ステーションの看護師などが柔軟に訪問できる仕組みを設ける必要がある。
- 配置医の人員基準を強化すべき。
- 配置医以外の診療科を受診している場合は、医師がチームを組んで入所者を管理する。
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