介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ

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こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

第145回社会保障審議会介護給付費分科会(平成29年8月23日)の議事録が、9月26日に公表されました。

平成30年度介護報酬改定に向けて、議題として挙げられている

  1. 介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ
  2. 介護人材確保対策
  3. 区分支給限度基準額
    について議論が行われました。

「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ」の論点

○ 「自立」の概念について、どのように考えるか。
○ 個別サービス事業所の質の評価や個別サービスの質の評価に
 ついて、ストラクチャー、プロセス、アウトカム等の観点から、
 どのように考えるか。
○ 自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与の方法について、
 どのように考えるか

今日のブログでは、1番目の議題について介護給付費分科会の委員の中で代表的な意見を述べられた

その議事録に書かれていることをご紹介します

代表的な意見

最初に意見を述べられた鈴木邦彦氏(公益社団法人日本医師会常任理事)の発言に注目してみました。

5ページの論点の○に沿ってお話しさせていただきます。

まず、一番上の○でございます。自立には、身体的自立以外に精神的自立、経済的自立、社会的自立があります。エビデンスの出せるものだけを自立と捉えると、身体的自立に偏った評価となる可能性があります。
自立を評価するためには、要介護状態などの軽減だけでなく、悪化の防止、すなわち維持も含むとともに、ICFにおいては心身機能だけではなく、活動・参加へのアプローチも含むと考えられ、ADLだけではなくQOLの評価も必要であると考えます。

2つ目の○でございます。ストラクチャー評価については、人の加配による体制の評価、プロセス評価については、PDCAサイクルを用いて成果を定期的にチェックできるような仕組みの評価が考えられます。アウトカム評価については、これが一番難しいと思いますけれども、個別サービス事業者の質の評価を導入しますと、改善が見込める高齢者だけを選別する、いわゆるクリームスキミングが起きる可能性もあるため、まずは状態の維持やQOLも含めて、統一的な視点でサービスの質の評価に導入することを検討することが考えられます。

3つ目の○でございますが、自立支援に向けた事業者へのインセンティブについては、要介護者の状態の改善により事業所の収入が減少すると言われておりますので、そうしたことがないように、自治体がサービスの質を評価して奨励金を支給し、介護報酬の減額部分を補填することや、あるいは金銭的なインセンティブを伴わずに行える行政からの認証の付与などが考えられます。
ただし、要介護4、5のほぼ寝たきり状態のような方や認知症高齢者の方など、全ての要介護者に自立支援の考え方を用いることは難しいと考えられます。

要介護度改善などの指標に基づくインセンティブ導入

今回の介護報酬改定において、今までと大きく違い方向転換される一つが、自立支援による要介護度改善などの指標によって、介護報酬を上げようとするインセンティブの本格的な導入です。

デイサービスについて言えば、ただ機能訓練さえすれば加算がもらえた時代から、その機能訓練から要介護度の改善など自立支援につながるという成果をもって、介護報酬に反映されることになるということになります。

また、預かり型のレスパイトケア中心のデイサービスは、ますます介護報酬面で厳しい状況になると予想されます。

インセンティブを導入し自立支援で成果を出した介護事業所の報酬を上げるにしても、介護給付費の総額は増えることはなく、減らす方向で検討されていることから、財源をどこに求めるかが重要になってきます。

考えられるのが基本報酬を下げ、その分をインセンティブ導入の財源とすることです。



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