グループホームの防火対策 不備指摘、41%是正せず

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

「グループホームの防火対策 不備指摘、41%是正せず」

上記タイトルの記事が、日本経済新聞2013年4月28日にありました。

記事は、国土交通省が全国の認知症グループホーム約1万2千ヵ所を3月下旬時点で調べたところ、非常用照明の不備など建築基準法令の違反が指摘された1788施設の41%で是正が済んでいないという内容です。

国土交通省の担当者は「迅速な避難が難しい認知症の高齢者が暮らす施設で4割も未是正なのは問題だ。自治体は事業者に改善を強く求めてほしい」と話しています。

国土交通省の報道発表

平成25年2月8日に長崎市の認知症高齢者グループホームで発生した火災を受け、認知症高齢者グループホームの防火・避難関係規定に係る点検及び是正状況の調査結果が発表されました。

調査結果によれば、

  1. これまでの取組により一定数の是正が進んでいるものの、全体としては違反の事実が判明した施設の約4割について是正が完了していない。
  2. また、今回新たに開設が把握された施設や過去の点検において違反なしとされていた施設においても防火・避難規定に係る違反が確認されている。

以上を受けて、国土交通省は各都道府県に次のような指示を行いました。

  1. 引き続き未是正物件に対して、消防部局及び福祉部局と連携し点検及び是正指導を行うとともに、
    1. 所有者等に対して建築物の具体的な改善に係る計画の提出を求め、その実行を促すこと、
    2. 正当な理由なく是正が行われない事例については建築基準法第9
      条による違反是正命令を行うこと、
      などの取組により、迅速な違反是正の更なる徹底を図ること。
  2. また、一部規定の違反の有無が「不明」扱いになっているものについても改めて立入調査をするなどし、その結果、違反であることが確認されれば是正指導を行う等の取組み行うこと。

なお、次回のフォローアップ調査は、本年9月末時点の状況について行われる予定です。

認知症高齢者グループホームに係るフォローアップ調査の状況(都道府県別)

平成25年3月22日報告時点
グループホーム調査

上記の「都道府県別のフォローアップ調査の状況」を見て、次の通り要約しました。

  1. 是正率100%の都道府県は、山形県、富山県、鳥取県、徳島県、宮崎県の5県です。
  2. 是正率ワースト5は、
    1. ワースト1位 東京都11.7%
    2. ワースト2位 長崎県22.9%
    3. ワースト3位 秋田県と沖縄県25.0%
    4. ワースト5位 奈良県34.3%
  3. しかし、秋田県は建築基準法令に関する違反を把握したものの件数(A)が4件に対して是正済みのものの件数(B)が1件で、そもそも(A)が少ないので、是正率が低いことをもって是正が進んでいないとは言えません。
  4. 同じように、沖縄県は(A)は8件に対して(B)は2件で是正率が低いことをもって是正が進んでいないとは言えません。
  5. 最も問題のある都道府県は東京都です。是正率(B/A)が11.7%
    でワースト1です。

過去の施設の火災事故(高齢者住宅新聞より)

発火日施設名所在地用途・該当部分(建物全体)延床面積負傷者数死者数
2007年1月やすらぎの里長崎県大村市認知症高齢者GH304㎡3人7人
2008年3月愛の家GH北海道帯広市認知症高齢者GH658㎡1人1人
2008年11月養護老人ホーム信濃寮長野県飯田市養護老人ホーム1451㎡9人
2009年2月リボーンビル神奈川県川崎市共同住宅352㎡7人
2009年3月きょうわ荘神奈川県川崎市共同住宅297.4㎡4人1人
2009年3月静養ホームたまゆら群馬県渋川市無届の高齢者住宅387.9㎡1人10人
2009年6月ハイムひまわり神奈川県綾瀬市障害者GH318㎡1人3人
2009年11月六郷の里宮城県仙台市老人福祉施設2235㎡3人
2009年12月ROSE倶楽部粒来福島県いわき市小規模多機能型施設380㎡3人2人
2010年3月GHみらいとんでん北海道札幌市認知症高齢者GH248.43㎡2人7人
2013年2月GHベルハウス東山手長崎県長崎市認知症高齢者GH270.36㎡8人4人
2013年2月新潟もぐらの家新潟県新潟市障害者GH810㎡(建物全体)5人1人



コメントのお願い

a:2745 t:1 y:0