介護、官製賃上げに限界 大規模化で生産性向上必要~日経新聞~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
昨日の日本経済新聞に「介護、官製賃上げに限界」というタイトルの記事が掲載されていました。
読まれた方もおられると思いますが、記事の内容を簡単に要約してご紹介します。
厚生労働省は、介護スタッフの賃金を2009年度から累計で月3万円アップしたと説明しているが、2013年の賃金構造基本統計調査をみると月給は約22万円で、全産業に比べ10万円ほど低い水準でほとんど変わっていない。
このように官製賃上げには限界があるとして、事業者集約を促す規制緩和や制度改革を急ぎ、生産性を高めなければ介護現場の苦境からの脱却は逃げ水のように遠のいてしまう。
このように記事は、結論付けています。
規模の拡大は必然
2012年8月号の介護ビジョンで、故池田省三氏が今月の顔として登場されています。
そこで書かれた内容を抜粋しました。
介護保険がスタートしてから12年経ちましたが、いまだ経営という発想が乏しい。
従業員10人未満の小規模事業所が多数あり、そもそもこうした規模では経営概念を持つには無理があります。
介護の業界では、介護報酬に依存しているような状況です。介護保険制度の枠内では、価格が統制されているのでそれほどの利益は期待できません。大きな利益を上げたいならば保険外サービスへの展開を考えるべきです。
経営の安定という点では、やはり従業員200~300人の一定規模の企業にすることが必要でしょう。
人材確保の問題でいえば、アマチュアが多すぎると思います。一般企業なら省力化や生産性の向上ということを当たり前にやっているのに、介護の世界では人を増やせの大合唱です。少数精鋭でやればその分、給料も上がるといった意識がまったくないのが不思議です。
池田氏の考え方が、厚生労働省の介護保険制度改正に大きく影響しています。
したがって、池田氏の考え方を学ぶことは介護事業の経営者として、中長期の事業計画を作成するときに参考になると思います。
厚生労働省は、介護事業所の規模拡大に向けた政策誘導をこれからするだろうと想像がつきます。
事業所規模と離職率及び平均月収との関係
池田氏の著書「介護保険論」には、次の事業所規模(従業員数)別離職率と事業所規模(従業員数)別平均月収のグラフが掲載されています。
いずれのグラフも、一部の例外を除いて規模が大きくなるにつれて良くなっています。
これが事業所拡大のメリットの一つの根拠になっています。
この様に、規模を拡大することは必然ですが
- 規模拡大には落とし穴があること
- 小規模だから生き残れないということはない
と私は考えています。
この点について、明日以降のブログで書きたいと思います。
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