居宅介護支援事業所は併設した方が良いか

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

居宅介護支援事業所は、今回の介護報酬の改定で実質的にマイナスでした。

認知症加算と独居高齢者加算が、基本報酬へ包括化されたからです。

居宅介護支援の基本報酬は、次の通り3.6%~4.0%引き上げられます。

しかし、認知症加算と独居高齢者加算が基本報酬に「まるめ」られたため、実質的に引き下げになっています。

両加算を取得している事業所は全体の8割ほどありますので、今回の介護報酬改定の影響は大きいです。

【居宅介護支援の基本報酬】

要介護度現行改定後増減率
居宅介護支援費(Ⅰ)要介護1,21005単位/月1042単位/月+3.7%
要介護3、4、51306単位/月1353単位/月+3.6%
居宅介護支援費(Ⅱ)要介護1,2502単位/月521単位/月+3.8%
要介護3、4、5653単位/月677単位/月+3.7%
居宅介護支援費(Ⅲ)要介護1,2301単位/月313単位/月+4.0%
要介護3、4、5392単位/月406単位/月+3.6%


【認知症加算及び独居高齢者加算の基本報酬への包括化】

現 行改 定 後
認知症加算150単位/月基本報酬へ包括化
独居高齢者加算150単位/月

認知症加算と独居高齢者加算の基本報酬への包括化と特定事業所集中減算の偏り割合の見直しによるダブルパンチ

居宅介護支援事業所の特定事業所集中減算は、今回の改定では大きな影響がありました。

特定事業所集中減算の偏り割合が90%から80%に見直された結果、新たに10%を他の事業所に回さなければなりません。

居宅介護支援事業所にとって、ダブルパンチです。

この様な状況で、居宅介護支援事業所を併設した方がいいのか、又併設している事業所が採算に合わないので廃止した方がいいのか、悩んでおられる方もおられると思います。

居宅介護支援事業所の収支の現状

一般的には、居宅介護支援事業所の収支は合いません。

居宅介護支援事業所の場合は、ほとんど要介護1,2の方が中心です。

なぜなら、要介護3~ 5の方の多くは、介護施設に入っておられるからです。

そのため、一ヶ月の報酬は1,042単位、すなわち10,420円になります。

1人のケアマネが30人のケアプランを作成していると仮定すると、一ヶ月の売上は30人×10,420円で約30万円です。

これに対して人件費はケアマネさんの月給が25万円、電話代はかなり使用するので3万円、そ他月1回は必ず利用者宅に訪問するので交通費や車両関係の経費もバカになりません。

利用者が25人ぐらいしかいなければ、ケアマネさんに給料を支払って終りです。

この様に一人ケアマネの場合は、基本的に赤字です。

また、30人の利用者を獲得することは難しいです。

利用者30人~35人を持っているケアマネさんを採用できたらいいでしょうが、中々そのような人はいません。

ケアマネの資格を取ったばかりの人を採用も、一からご利用者を獲得しなければならず、容易ではありません。

いま居宅介護支援事業所が、新規の利用者を獲得すること自体が難しです。

それはら、ケアマネの事業所を併設することなく、ケアマネさんに直接、営業に行った方がいいです。

居宅介護支援事業所の併設の可否

しかし、どうしても居宅介護支援事業所を併設したい場合は、次の2つの視点で考えて下さい。

まず、居宅介護支援事業所が単独で赤字でも、その赤字以上に自事業所にケアプランが回ってくるか?

又は、居宅介護支援事業所単独で、黒字になる様にすることです。

この場合は、特定事業所加算を算定しない限り収支は改善しません。

特定事業所加算を取得すると一人300単位、3,000円がプラスされます。

ケアマネさん一人当たり約30万円の収入になると仮定して、ケアマネさん3人で90万円~100万円になります。

その100万円に特定事業所加算30万円がプラスされて、一ヶ月130万円ぐらいの請求になります。

国も併設ではなく単独の居宅介護支援事業所を、さらに一人ケアマネではなく3人以上の事業所にしたいと考えています。

国は、一人ケアマネの収支をプラスにすることは、さらさら考えていません。

ケアマネさんを3人以上雇用して特定事業所加算を取得し、収支をプラスにするのであれば、居宅部門を開設する意味はあります。

そうでなければ、ケアプランを自事業所に回して、充分にメリットがない限り、居宅介護支援事業所を開設することは考えものです。

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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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